岩崎弥太郎が主役みたいだった日
2010年1月17日 (日曜日)
早いものだ。1月3日から始まった「龍馬伝」も今夜で三回目。今回も楽しんで観た。
龍馬は、父・八平の知人で江戸行きの経験のある溝渕広之丞(ピエール瀧)と一緒に土佐を発ったのだったが、向かう途中、岩崎弥太郎が「俺もいっしょに連れて行け!」と紛れ込んでくる。
しかし弥太郎が持っている通行手形は自分で偽造したもの。ばれたら本人はもちろん同行する龍馬や溝渕の首がはねられてしまいかねない。
そんなリスクを承知の上で、龍馬は弥太郎を同行させることにするのだが……。
まあ、観てない方もいるかもしれないので、詳しくは再放送や録画したものを観てほしい。
今回のみどころは、やっぱりなんといっても、香川照之が演じる岩崎弥太郎だろう。この日記でも何回も書いているが、香川照之ってすごい役者だ。惚れ惚れする。
この弥太郎(香川)の存在が、まだ成熟していない主人公の龍馬を力強く支えている。きょうは完全に主役を上回る存在感だったな。そして、存在感がありながらも、決して主役を食っているような印象を与えていないところがまたスゴイ。
ただちょっと心配なのは、香川照之はいま急激に人気が上昇してきており、いろんなドラマ、映画、舞台に引っ張りだこであること。まあプロなので大丈夫なのだろうが、露出しすぎて擦りきれないようにしてほしいな。
ところで、龍馬伝のこの先のシナリオを読んでいるわけではないので単なる僕の推察なのだが、今回の大河ドラマは、「親と子の愛」というのが重要なテーマのひとつになっているような気がする。
第一回放送の、龍馬と母・幸(草刈民代)のシーン。先週の、龍馬と父・八平とのシーン。今回、八平が龍馬に渡した手紙を「宝」といって大切にする龍馬のシーン。その手紙を夜、龍馬が寝入った隙に、じーっと盗み見る弥太郎-弥太郎はきっと、故郷に残してきた父親のことを考えていたのだろう-。こんなシーンのひとつひとつから作者の意図が伝わってくる。
一方、弥太郎が家出同然で出て行ったものだから、おろおろして探し回る父・弥次郎(蟹江敬三)の姿がまたナイスだった。普段は家族のことなど一切顧みず、博打や喧嘩にうつつを抜かす駄目オヤジなのだが、やはり弥太郎を思う気持ちは、普通の父親そのものだ。
うん。味があるなあ……。龍馬、弥太郎、そして彼らの親たち。それぞれがそれぞれを思いやる気持ちが、役者さんたちの好演もあって、とてもじんわりと伝わってくる。
さあ、来週はいよいよ龍馬が江戸に着く。千葉道場の看板娘、佐那との剣の勝負が見られるのかな。引き続き楽しみにしたい。