ラーメン屋なのに、ラーメンを食べなかった日
2011年6月8日 (水曜日)
築地のパフから月島の自宅までの帰り道には、ラーメン屋が2軒ある。一軒は、オーソドックスなしょう油味の中華麺を500円というリーズナブルな料金で食べさせてくれる店。もう一軒は、博多ラーメンの店だ。
昔は博多ラーメンの店で食べて帰ることが多かったのだが、最近はほとんど行けていない。経営方針が変わったようで、夜の11時に閉店してしまうのだ。昔は明け方までやっていたのに……。これでは夜が相変わらず遅い僕は、なかなか行けない。
もう一軒の中華麺の店は深夜3時くらいまでやっているので、最近はもっぱらここで食べて帰ることが多い。カロリーも博多ラーメンと比べればヘルシーなのだ。
昨夜も、この中華麺の店にふらふらと立ち寄った。
ストレスが溜まっているのだろうか、暑かったからだろうか、無性にビールが飲みたくなって、瓶ビールを一本頼んだ。
つまみとして餃子を一皿。でも餃子は焼き上がるまで時間がかかる。「餃子が焼ける前に、すぐにできるものって何がありますか?」と聞くと、「もつ煮込みだったらすぐ出ますよ」との答え。迷わず、「じゃ、それ!」とオーダーした。
なるほど、もつ煮込みは、すぐに出てきた。
そしてほどなくして、餃子も出てきた。
「餃子」と「もつ煮込み」。なかなかヘビーな組み合わせだが美味い。ビールとの組み合わせも最高だ。至福のひと時を味わう。
一気に食べ終えたのだが、なんだかもう満腹。
本当は、ラーメン(しょう油味の中華麺)を締めとして食べようと思っていたのだが、飛び入り参加のモツ煮込みのおかげで、もうお腹に入る気がしなかった。
結局、お勘定をしてもらった。
店員さんが「え?お勘定なんですか?」と不思議そうに僕にたずねるが、「うんお勘定」と満足した僕の返事に、店員さんはそれ以上、何も言わなかった。
店を出たあと、なんだか清々しい気持ちになった。常識や慣例を打ち破った快感だ。
ラーメン屋だからといって、ラーメンを食べる必要なんてないのだ。
薬局だってお弁当や野菜を売る時代。かつての町の小さなカメラ屋さんが、全国チェーンの大型家電量販店に姿を変えたように、いつ何が(誰が)どのような変革を起こし世の中を変えていくかなんて、誰にも分からない。常識という枠組みや、見えない(本当はありもしない)壁をぶち壊すのだ。