新・パフの創業物語<第22話> 「ボクでよかったら採用しませんか?」
2020年7月28日 (火曜日)
20年前(2000年7月から約1年間)、メルマガで連載していた自伝(自虐?)のコラムを不定期で再掲しています。きょうは第22話です。
※第1話はこちら⇒新・パフの創業物語<第1話> 「最初の出会いは産婆さん?」
※原則として昔の原文のままですが、事実とは異なっていた内容、誤字も含めての不適切な表現、「てにをは」のおかしな個所は、修正しています。また当時の写真やイメージ画像等を追加で掲載しています。
※文中にある「今」の内容は、すべて執筆したとき(西暦2000年当時)のものです。
1983年9月のある日。
大手安定企業への就職という選択肢を自ら消してしまったボクは、明日の姿もよく見えない零細ソフトウェア企業S社の社長のところに、リクルートの営業マンとして訪問していました。
「社長、申し訳ありません。結局、誰ひとりとして応募はおろか、資料請求さえ来なかったですね……」
「釘ちゃんのせいじゃないさ。これがウチの実力だよ」
ボクはS社から「新卒採用のすべてを任す」と言われ、会社案内の作成、リクルートブックへの掲載、原稿の作成、DMの発送などなど、許された予算の範囲で出来る限りの告知を学生に対して行った結果が上の会話でした。
「釘ちゃんさ、今夜ひま?よかったら飲みに行かない?」
S社の社長は、思い詰めたボクの表情を察してか、その日飲みに誘ってくれたのです。
(よーし・・・今日が決行日だ!)
S社の社長と、新宿のちょっとだけ高級っぽい店で飲み始めて少し経ったころ。
「社長、実はお話があります」
「なんだい釘ちゃん、あらたまって。もう採用の話はいいよ」
「いや、そうじゃなくて」
「ん?」
「社長、私は社長に今までウソをついていました」
「うそ?」
「はい、ウソです。私は、いやボクは、実はリクルートの社員なんかじゃありません」
「なに???だってリクルートブックにうち、ちゃんと載っかってるよ」
「いや、そうじゃなくて……。ボクはまだ社員じゃなくて学生なんです。明治学院大学経済学部4年の、正真正銘の現役学生なんです」
「え?(絶句)」
「今まで隠していて申し訳ありませんでした!」
「へー、あそー、いやー、釘ちゃん学生だったのー……」
「本当に申し訳ありませんでした。あ、これ、ちゃんと学生証も持ってます」
「いやーまいったなー、へー、ビックリした。学生があんな立派な営業するんだ」
「いやいや、これでも売れない営業マンで社内では有名で、へへへ」
「ガハハハ!いやー学生でも何でもいいよ。飲も飲も!」
「いや、社長、話はそれだけではないんです」
「なに、まだほかにもウソついてたことがあるの?」
「いや、そうじゃなくて。あのう……」
「なんだよ、釘ちゃん、はっきり言いなよ」
「社、社長、ボ、ボクでよかったら採用しませんか!?」
「なにー!!!」
(どっひゃー、ついに言っちまった。どうなっても知らないぞ……。つづく)
まさに「歴史は夜つくられる」。この夜の会食は、僕のその後の運命を大きく変えていきました。
この物語は全52話。今日でやっと22話なので、あと30話が残っています。9月末までにすべてを終わらせるつもりなので、これからは週4日は載せていかないと間に合わなそうです。いざとなったら土曜と日曜も使うことになるんでしょうね”(-“”-)”。
さて、本日は日本採用力検定協会の理事会です。本当は全理事にパフの会議室に集まってもらって、夜は懇親会を行うはずだったんですが、感染拡大を受けて急きょオンラインでの開催になってしまいました。議題はてんこ盛りなので、集中を切らさないように進めてまいりましょう。
あ、でもその前に契約書の印鑑を押すためだけに九段下に行かねばなりません。これはほんと非効率。電子契約書を早く普及させてもらいたいものですね。
では、ささっと朝食後、印鑑を押しに行ってきます!