パフ代表の徒然ブログ「釘さん日記」

きょうは自宅から東京駅に直行。朝9時の新幹線で大阪に向かった。

目的は、ふるさと就職応援ネットワーク(Fネット)の加盟企業代表者会議に出席するため。

今回は、加盟企業全社に呼びかけて、大阪で開催しようということになった。特に今回大阪で開催したのは、関東以西の加盟企業が参加しやすいように、という配慮からである。

いつも僕は、東京・築地のパフの事務所で、各社の社長をお迎えする立場なのだが、本日は、3時間以上の移動時間を経た上での出張参加。いままでは実感できなかったのだが、遠方から長い時間と高い交通費をかけて参加している同業者の皆さんの大変さが身にしみて理解できた。いつも遠路はるばる会議に臨まれる皆さんに、敬意の念を抱いた次第だ。

今回の会議では、10社の代表者(社長)の皆さんが参加したのだが、多くの時間を割いたのが、各社・各地域の直近の事業報告。想像した以上に、各社の置かれた厳しい現実が伝わってきた。

とはいえ、各社の社長がすごいのは、まったく暗さが漂っていないところ。目の前の業績は確かに厳しいものの、変化に備えた布石を着々と打ちつつある。

ある会社などは、社員全員から新サービスのアイディアを募集したところ40個以上のプランが寄せられたとのこと。しかも、そのうち30のアイディアを経営会議で採用し、現在、プロジェクトチームを結成したうえで商品化を進めているらしい。いくつかのプランを披露してもらったのだが、実に独創的で、かつ現実的な(つまり、顧客に受け入れられそうな)サービスばかりだった。パフと同じくらいの従業員しかいない会社なのに、その推進パワーの大きさに驚いた。すごい。あっぱれだ。

東京の同業大手企業が青色吐息の状況なだけに、この地方企業の元気な姿に、僕も相当に勇気づけられた。

いやあ、地方はすごい。

Fネット加盟企業に、パフの社員を定期的に出向させようかなと思ったくらいだ。ついていけるかどうか心配でもあるが、相当に強い刺激を受けるはずだ。

 

ところで、5時間に及ぶ会議の終了後は、場所を居酒屋に移しての懇親会。僕は、本日中に東京に戻らなければならなかったので途中で中座したのだが、大阪の料理は安くて旨い。もう少し長居したかったんだけどしょうがない。

懇親会では、僕の隣の席にいた京都の社長と、「次回は京都で2社合同イベントをやりましょう!」という話で盛り上がった。できれば紅葉の時期がいいかなあ。・・・これで、また楽しみがひとつ増えたぞ。やった

本日の帰り道。おきて破りのラーメン屋で晩御飯を食べた。おきて破りというのは、「帰り道にラーメン屋の誘惑に負けない」という自分への緩やかなルールなのであるが、やはり空腹には耐えられなかった。

寒かったこともあり、ラーメン屋はかなり混んでいた。

1席だけ空いていたカウンターの席に座ると、隣には40歳~50歳代のサラリーマンが3人、激しく議論している。議論といえば聞こえはいいが、まあ要は会社の愚痴である。何気なく聞いていると、それは会社の中にいる社員への愚痴。このサラリーマンたちは、年齢からして、中間管理職なのであろう。

そのうち話はエスカレートしていき、攻撃の対象は、社長になっていった。

「だいたい、あの社長の考え方はおかしい!」とか、「俺たちのことをまったく理解していない!」とかである。

「社長」という言葉がでてくるたび、僕は隣で、ぴくっとしてしまった(笑)。

それにしても、「社長」の悪口を聞くのって、他社のものであっても気分が悪いものだ。隣のサラリーマンの会社がどんな会社で、社長がどんな人なのかは知らないが、こういう中間管理職がいるかぎり、発展は望めないだろう。

うちの連中は、まさか居酒屋で、こんな品のない話はしてないだろうなあ……。

夕刊の見出しに緊張した日

2009年2月16日 (月曜日)

内閣府が2008年10月~12月のGDP速報値を発表した。

なんと3四半期連続減で、実質年率に換算するとマイナス12.7%減になるという。

この数字が、きょうの新聞の夕刊で一面トップになっているのを見て、「うわっ!」と思わず声がでてしまった。見たくないものを見てしまったというのが、正直な感想だ。

しかし、これが現実。現実は現実として受け止めなければならない。

生まれて以来、いまだかつて経験したことのないゾーンに(しかも経営者として)突入する。

この緊張感。なんとも云えないものがある。

景気の気は、元気の気であり、勇気の気である。

最後は「気」の勝負なんじゃないかと思う。気を楽にしながらも引き締めて、この難局に臨みたいと思う。

昨日、2月14日は、パフの2010年度入社希望者向けの第一回説明会を実施した日だった。

パフは全従業員で(パートさんを含めても)、20数名の小さな会社。なので新卒者の採用も若干名ではある。しかし、少人数の企業で、若干名の採用だからこそ、とびきり優れた(アタマがいい、ということだけではない)人材が求められる。

以下、説明会でも発表した、応募者のみなさんへのメッセージを掲載する。パフへの入社を希望する人にはぜひ読みこんできてもらいたい。

-----

パフを志望される学生のみなさんへ

・パフは、世の中の人々に、必要とされる会社になりたい。人々が、幸せに豊かに暮らせるような世の中を、作っていきたい。

・これから生まれてくる子供たちが将来、「明るく楽しく生き生きと、そして真剣に」暮らしていけるような世の中にしていきたい。

・若い人たちが「社会に出てハタラク」って、いいことなんだ。楽しいことなんだ。自分の人生を豊かにすることなんだと、思えるような世の中にしていきたい。

・一人ひとりが、「生き生きと幸せに働ける」ようになったら、絶対いい世の中になる。職業を通して得られる喜びがあれば、人生そのものが豊かになる。働く喜びが充満した世の中になれば、訳のわからない犯罪だって少なくなる。

・そのためには、現在の日本の、偏った就職と採用のあり方を変えていかなければならない。

・皆が判で押したように、同じマニュアル本を見て、同じ就職ナビを見て、同じイベントに行って、同じリクルートスーツを着て、就職人気ランキング上位の企業に入ることがシュウカツの成功だと信じて疑わないこの国の就職と採用を、変えていきたい。

・大手有名企業だけに人が集中してしまう、このおかしな状態を変えていきたい。3年生の10月に一斉にシュウカツがスタートし、2月から一斉にセミナーがスタートし、タイミングを逃すと門戸が閉ざされてしまう、このおかしな状態を変えていきたい。地方にいる優秀な人材を、根こそぎ、東京の会社がさらっていく現状を変えていきたい。海外の学校で勉強している優秀な学生たちが、卒業後、安心して日本に帰ってこられるような仕組みを作りたい。日本のあらゆる会社に、適正な人材の適正な配置を促したい。

・学生の皆に、志を高く持つことの素晴らしさを伝えていきたい。

・働く誇りや喜びは、どこで働くかではなく、「どう働くか」で得られるのだ、ということを伝えていきたい。

・企業には、採用の場を通じて、学生を育てることの貴さを伝えていきたい。人の採用や教育の現場に居る人々こそ、高い志を持たなければならないことを伝えていきたい。

・パフは、そういった思いのある人たちと一緒に仕事をしていきたい。社員、顧客企業、パートナー企業、同業者、学校、学生。皆とこの思いを、共に有し共に育てていきたい。

・そしてこれらを、適正な利益を上げられるビジネスとして成立させたい。そうでなければ、単なる理想論者で終わるだけ。世の中を変えていくためには、大きな影響力を持ったビジネスとして、継続・発展させていかなければならない。

・パフには幸い、思いを持った優秀な社員たちがいる。小さな会社だけれども、社員の優秀さや、ひた向きさは日本一のレベルだと思う。給料がいいわけではない。福利厚生がしっかりしているわけでもない。商品やサービスやビジネスモデルが確立しているわけでもない。でも、社員は毎日、自分のあたまで懸命に考えている。自分の足で懸命に動いている。あたまと体に汗をいっぱいかきながら、日々の仕事をしている。ほかの会社の同年代の社員たちよりも、ずっとイケている。

・さらにパフには、大きな可能性を秘めた、パフの理念に共感してくれるお客様やパートナー企業がいる。パフは11年間、お客様とパートナー企業の皆さんに育てていただいた。右も左もわからなかった、かつての新入社員たちを、辛抱強く育ててくれた。「パフは、そんなことでいいのか!」と、檄を飛ばしてくださる熱く温かい方々に囲まれて、仕事をしてきた。

・そして、一緒にビジネスを展開していく仲間(同業者)も大勢いる。東京だけではなく、東北にもいる。新潟にもいる。北陸にもいる。中部にも関西にも四国にも九州にもいる。海を渡った海外にもいる。これから事業提携が本格化し、パフだけでは出来なかったビジネスが、大きく動き出す。

・社員、パートナー企業、お客様、同業者。そして学校や学生達。このネットワークを強固にしながら、新しい「就職と採用のカタチ」を作っていきたい。

・「世界で、たったひとりのあなたのため」の、力強い支援者になっていきたい。

・会社に何かを求めるのではなく、会社に対して自分が何をできるのかを考えられる人。考えを即、実行に移せる人。言い訳をしたり、失敗を他人のせいにしたりしない人。失敗を恐れずに、突き進める人。大きな失敗をしても、そこから這い上がれる人。仲間を大切にできる人。自分本位ではなく、誰かの為に頑張れる人……。そんな人に、ぜひ応募してもらいたいと考えています。我々と一緒に「世の中のための会社を創っていきたい!」と、心底思ってくれる人たちの応募を待っています。

株式会社パフ 代表取締役社長 釘崎清秀

僕が大学に入学した時の、すぐひとつ上の先輩にHさんという人がいた。

僕が行きがかり上入部した人形劇団サークルの先輩だ。学年はひとつ上なのだが、年齢は同じ(僕は浪人して大学に入学したので)。だからという訳ではないが、とても仲のいい先輩だった。

大学に入学したばかりの僕は、学校コンプレックスに囚われた実に情けない奴だった。仮面浪人をして、翌年、別の大学に行こうかなんてことを考えていた。そんな情けない僕に、入部の時、“喝!”と言ってくれたのがHさんだった。

「自分がいったん選んだ場所を否定して、そこから逃げるような奴は最悪だ。ひきょう者だ。いまこの場で頑張っている俺たちのことを、おまえは馬鹿にする気か? 与えられたフィールドで、まずは頑張らないでどうするんだ?」

こんなことを19歳の先輩は、19歳の後輩の僕に真剣に語ってくれた。僕は以来、大学の勉強も、サークルも、バイトも頑張ることができた。大学のゼミも、Hさんのいたゼミ(マーケティング)を選んだ。だからHさんは、サークルの先輩でもあり、ゼミの先輩でもある。

ちなみに、Hさんが僕を叱ってくれたときの上記の言葉は、現在パフが職学校で唱えている、 『職業に貴賎なし』という校訓にも通ずるところがある。

 

僕にとって(進むべき道を気づかせてくれたという意味で)恩人ともいうべき、この先輩のHさんが、本日、僕を会社まで訪ねてくれた。

Hさんは現在、銀座の某百貨店の部長として勤務している。つまり百貨店を支える幹部だ。

Hさんの勤務先の百貨店からパフの事務所までは歩いても10分程度。いつでも会える距離にいたのだが、逆にいつでも会えるものだから、この6年間ほどは会っていなかった。今夜は久々の再会だった。

パフの事務所を見学してもらったのち、東銀座の炉端の店で一献傾けた。考えてみれば、二人だけで酒を飲むのは、大学生のとき以来かもしれない。

昔話、いまの仕事の話、いろいろと出てきた。ふたりで北海道旅行をしたこともあった。僕が旅の途中で3針も縫うほどの大怪我をしたこともあった。Hさんが好きだった女の子の実家まで、なぜか一緒に行ったこともあった。

昔話は、懐かしく、ほろ苦くも、いまとなっては楽しい話ばかりである。

しかし、現在の仕事の話は、経済環境の急激な悪化もあって、なかなか楽しい話にはならない。実に切実だ。

「オレたちも、現役で働けるのがせいぜいあと10年ちょっと。クギサキさあ、オレ、最近やっぱり、世の中のためになることをやりたいなあって、心から思うようになってきたんだよ。もちろん百貨店が、世の中のためにならないとは思わないんだけどね。でも、もっと自分が直接世の中に役立てているって実感できることを、やりたいなって思うんだよなぁ…」

こんなことをポロっと、先輩のHさんはもらしていた。

社会に出て26年め。ビジネスマン人生の最終コーナーに差し掛かった我々が、皆共通して考えていることなのかもしれない。

先日、「経済同友会の提言にしびれた日」というタイトルの日記を書いた。そのなかで、企業の人事担当者と大学キャリアセンター職員とのパネルディスカッションについて触れた。そして最後に、そのパネルディスカッションで出てきた、とあるキャリアセンターの方の発言を、公表されている議事録から転載させていただいた。

その内容を、あらためて以下にコピペする。

——-

昔、大学生は大人という定義だったが、現在は心理学的にも昔の大学生・大人は今の30歳か35歳ぐらいかといわれている。しかしこれは私達が作ってきた社会であり、その軋みをいかに産業界と大学が力を合わせていくかという段階に来ている話でもある。

今の企業の人材採用は、誤解を恐れずに言えば各大学のトップ層の争奪戦ゆえの早期化である。倫理規定に関係ない外資企業等が早期化するから我々もやらざるをえない、とリーディングカンパニーが言う。

なぜ待てないのか。子供達が成長することをなぜ見守れなくなってしまったのか。もっと私達が大人にならなくてはいけないのではないか。学生にとって不幸なことは真に大人のモデルが少なくなったことだ。

学生達は、人事、企業のOBを本当に良く観ている。相談時に魅力的な人事の話がまれにでてくる。

高度成長期の人材要件は協調性だった。この部署に戻ってきて、日本の企業から自立という言葉が出てきたことに驚いた。

180度の人材要件の変化のなかで一番の犠牲者は若者である。求める力としてコミュニケーション能力がトップになり、大学生ならあたり前の能力要件を、なぜ敢えてトップに挙げなければならない日本社会になったのかを、一緒に考えていくことが必要。若者たちを批判し責めても何ら回答はない。

しかし問題の解は若者にしかない。完成した若者だけを選び、峻別する厳選採用は違うのではないか。中間層以下の学生を引き上げるのが教育である。それには時間が必要である。日本の教育システムによって、軋みを一身に背負っている若者たちをどうするかは大きな課題である。

早く内定が決まった学生が、大学の授業料を払いながらも企業の研修もこなしているのが現状。大学は大学生をさせなければならない。早期化により拘束期間が長くなり、企業は必死につなぎ止める努力を強いられる。現実に起こっている事を顕在化させて、全体が共通理解を持った方がよい。

——

経済同友会が発表した資料の中では、この発言の主が、どこの大学のどなたのものかということについては、残念ながら触れられていなかった。

しかし、僕はこの発言内容を読んで、「これはきっとKさんに違いない」と直感的に思った。Kさんというのは、某有名私大のキャリアセンター部長である(ちなみに女性である)。

かなり以前(たぶん6~7年ほど前)に、一時間ほど、お話したことがあり、その熱さと誠実さに感動したことをいまでも覚えている。その後も、活躍のご様子は、各種メディアを通じて拝見していた。

Kさんならば、企業の人事部に対して、上記のような歯に衣着せない発言(企業にとっては耳の痛い発言)をきっとするんじゃないかなと思ったのだ。

そう思ったら、自分の直感の正しさを確かめたくなった。

この日記を書いてすぐ、Kさんにアポイントのお願いの連絡をした。すると、Kさんは面談を快諾。Kさんは就職情報会社の現在のあり方を快く思っていないことでも有名なのだが、ありがたいことに、なぜかパフに対しては一目おいてくださっている。

そして本日が、Kさんとの面談のお約束の日だったのだ。

「この発言、Kさんじゃないですか?」

といきなり切り出した。

「お恥ずかしいですが、そうです(笑)」

やった。大正解だった。僕の直感もたいしたものだと、あらためて自信を深めた(笑)。

約1時間、久しぶりにKさん節をたっぷり聴かせていただいた。僕が知らなかった、超重要な情報もいただくことができた。パフの事業へのアドバイスもたくさん頂いた。

Kさんの問題意識の高さは、天下一品である。感心を通り越して感動した。と同時に、僕自身の勉強不足を強く反省させられた。「クギサキさん、そのくらい知ってなきゃダメですよ」とKさんからダメだしもされた(苦笑)。

それにしても濃い一時間を過ごした。大学キャンパスは現在、入試のため立ち入り禁止になっており、敷地の外にある大学が運営するレストラン(記念館)での面談だったのだが、珈琲とロールケーキまで御馳走になってしまったし^^。

Kさん、本日はお忙しい中ホントにありがとうございました。これからも同志として、ぜひともよろしくお願いいたします。

たくさんの根回しをした日

2009年2月12日 (木曜日)

「根回し」という言葉がある。

モノゴトを成就させるために、水面下で、キーマンに対する交渉を行ったり、キーマン同士を結びつけたり、結びつけるための場を設定したりすることである。

明治維新を成し遂げるために、犬猿の仲だった長州藩と薩摩藩との同盟を結ばせた坂本竜馬の話は有名だ。竜馬は、根回しの達人だったのであろう。

僕も竜馬にならって、本日は、3つのモノゴトを成就させるための根回しを方々に行った。

ひとりの力ではできないことが、複数の実力者を動かしたり、引き合わせたりすることで可能になる。

新しい時代を創り出すためには、たくさんの薩長同盟が必要なのだ。