パフ代表の徒然ブログ「釘さん日記」

僕が社会人向けのメルマガで書いているコラム、『どげえするんか』。今月号は、先週の金曜日に配信された。

きょう、とある大手企業の人事部長から、この『どげえするんか』に対して熱いコメントのメールをいただいた。

そのメールは次のような言葉で始まる。

 

> さて、今回の【Face to Face♪】の「どげえするんか?」
> を拝読し、無性に返信を書きたくなり、メールさせていた
> だいた次第です。

(中略)

> 私も「足軽」程度で良いから「サムライ」の一人と思って
> いただけてないかなあ、なんてことが妙に気になりつつ、
> 図々しいのは承知の上でちょっと偉そうに書かせていただ
> きます。
>
> --------------------------
> 私は人事部に異動になったのが平成5年の4月でして、早
> いものでもう16年が経過し、現在17年目となりました。
> 新卒採用活動を、今年も含めて17回もやってきたことに
> なります。
> (いつまでたっても、何回やってもレベルが上がらず、自
> 分の力量のなさを毎年痛感するのですが、また翌年同じこ
> とをやっているという情けない状況です。実は、正直、も
> う採用活動にはうんざりしているのですが・・・。)
> 単に長いことやってるだけ、と言えなくもないですが、そ
> れでもそれなりには採用活動に対する想い(こだわり)も
> 持てるようになりました。
>
> そんな者からすると、最近(と言うかここ6~7年ぐらい
> 感じていることですが)、世の中の採用担当者は弱くなり
> ましたね。(自分のことを棚に上げていることはお許し下
> さい)

 

このメールは、このあとさらにA4用紙で2枚分くらい続く。

多くの企業の採用担当者にもご覧いただきたい内容だったので、この人事部長に、僕のブログや次回配信のコラムで転載させてほしい旨をお願いしてみた。

すると、すぐに次のようなお返事をいただいた。

 

> 時間がかかった割にとりとめのない文章で、大変恥ずかしく
> 思っております。実は、先週金曜日夕方にメールを送信して
> から、あんな未熟な文章送るんじゃなかった、などと少々後
> 悔のようなものを感じておりました。お恥ずかしい限りです。

> そんな文章に対して、「転載」とは!
> もし私の考え・拙文がお役に立つのであれば、どうぞいくら
> でも転載していただいて結構です。名前も実名を出していた
> だいて結構です。「ことば」として発した以上、責任は取り
> ますので。

 

素晴らしい!「男」である。 「サムライ」である。 

ということで、まず本日は、この人事部長を触発(?)することになったコラムを先に転載しておこうと思う。そのうえで、この人事部長の熱いコメント(および人事部長の正体?)は、明日の日記でご紹介しようと思う。

では以下、僕のコラム「どげえするんか」です。

#「もう読んだよ!」っていう方も、ぜひ、もういちどお読みください。

 

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【01】釘崎の「どげえするんか?」

 第31回 時代は「破壊と創造」を迎えちょると思わんか?(前編)

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 パフ代表釘崎が、現在の採用市場、就職活動、世の中のあれこれについて、
  日々感じることを徒然なるままにお届けします。

  ※「どげえするんか?」=大分弁で「どうするんだ? どうしたいんだ?」
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 このところ私たちパフの周辺では、「破壊と創造」という言葉が流行ってお
 ります。

 パフの社員だけではなく、お取引先の人事のお客様や、いっしょにビジネス
 を展開しているパートナー様とのあいだでも、

 「やはり時代は『破壊と創造』ですよね?」

 「うん、そうですよね!」

 というやりとりが、まるで時候の挨拶のようになってきています。

 自民党から民主党に政権が移行した……ということではありません。

 私たちの事業領域である「新卒者の就職と採用」のカタチがいま大きく破壊
 され、あらたなカタチとして創造されるべき時代を迎えているのではないか
 ということなのです。

 ☆☆☆

 私はパフを創業した当初から、

 「こんな就職と採用のあり方はおかしい。企業も学生も、もっと本音で正面
 からぶつかり合える『顔の見える就職と採用』の世界を創り出そうぜ!!」

 ということを言ってきました。

 この考え方を広めていくために作ったコンセプチュアルな企画が「パフの職
 サークル協賛企画」というものでした。

 「顔の見える…」という趣旨にご賛同いただける企業様には、決して安いと
 はいえない参画費用を出していただき、その資金をもとに「顔の見える」を
 具現化するための場を(Webも含めて)多数、創り出してきました。

 この「職サークル」に協賛企業として参画してくださった企業の人事担当者
 の方々は、本当に素晴らしい方々でした。

 自分の所属する会社のミッションを遂行しながらも、

 「このままでは良くない。何かを変えていきたい」

 「何かを変えていくためには、旧来の枠組みではない新しい枠組みが必要」

 「その枠組みを作るには、自社の損得を超えたところからの発想が必要だ」

 といった、高い志をお持ちの、いわゆる「サムライ」が揃っていたように思
 います。

 このころは“超就職氷河期”と呼ばれていた時代です。大企業や有名企業で
 あれば、さほど苦労せずとも、お金をかけずとも、新卒者の採用ができてい
 た時代です。

 そんな時代に、できたばかりで何の実績もなかったパフという会社と一緒に
 行動をともにしてくださった協賛企業の人事担当者の皆さまのことを、私は
 いまでも尊敬してやみません。

 ☆☆☆

 しかし、時代が超就職氷河期から学生の売り手市場になるに従って、私たち
 の唱える理念が、「そんなの、よその就職情報会社でも言ってることですよ。
 パフさん、マネしてるだけじゃないんですか?」と言われることが多くなり
 ました。

 創業当初に協賛企業として参画してくださった気骨ある人事の方々も、他部
 署に異動されたりで、取引が継続しなくなるケースが増えてきました。いわ
 ゆる「サムライ魂」が引き継がれなくなってしまったのです。

 一方で、パフに近い立場にある人間からも、「そんな理念先行型のビジネス
 で会社を成長させようだなんて甘いんじゃないの?」という批判的な声も聞
 こえてくるようになりました。

 実際問題、社員が増え、事務所の面積も大きくなり、セキュリティ対策や個
 人情報保護対策のための経費が増大する中で、利益を確保することがとても
 難しくなってきました。

 それまでのパフは、「お客様になっていただくためには、まずはパフの協賛
 企業になっていただくことが大前提」というスタンスを堅持してきましたが、
 取引企業を拡大するために、このスタンスを緩め、「協賛企業」の基準も緩
 めることになりました。

 いま振り返ると、この時の判断は間違っていたのかもしれない……と、思う
 ことがあります。

 ☆☆☆

 学生の売り手市場が数年続き、「就職と採用のカタチ」は、ますます歪(い
 びつ)なものになってしまいました。

 私たちも、その歪なカタチを完全に否定することができず、閉塞感を抱きつ
 つも、現実との折り合いをつけながら事業を運営してきました。

 しかし、やはりこのままでは良くない。

 この変な、我が国の「就職と採用のカタチ」を変えていかなければならない。

 長いものに巻かれながら、大きなものに迎合しながらの生き方は、自分らし
 い生き方ではない。

 自分がパフという会社を作った意味を、いま一度考え直したい。

 50歳にリーチがかかったいま。自分の人生のクライマックス=最後の挑戦
 のタイミングを迎えたいま。そのような気持が日増しに強くなってきている
 自分に気がつきました。

 いまいちど、この時代に即した新しい「職サークル協賛企業」のネットワー
 クを立ち上げる必要があるのではないかと思っています。
 
 ☆☆☆

 この思いを加速してくれたのが、昨今の景気後退による「就職難」の再来で
 す。しかも、この「就職難」は、かつての「超就職氷河期」とはかなり違う
 もっとやっかいな性質を含んだものであると思われます。

 10年前の「超就職氷河期」の時代には、たくましい学生たちが先頭に立って
 時代と力強く戦っていました。でもいまは、隅々まで蔓延ってしまったマニ
 ュアル本と就職情報会社の似非キャリアコンサルタントたちが、学生の(本
 来は持っているはずの)戦う力を奪っているような気がします。

 企業側も、今回の景気後退による予算の締め付けや人員減によって、採用手
 法の自由度を相当に奪われてしまっています。

 また大手就職情報会社同士が繰り広げている(彼らも相当に厳しい状況に追
 い込まれているからだとは思いますが)なりふりかまわぬ営業競争も、目を
 覆いたくなるものがあります。

 いったい、どうすればいいんでしょうか。

 そんなときに突如として出現したのが、冒頭に書いた「破壊と創造」という
 キーワードだったのです。

 (後編に続きます)

 【今回のどげえするんか?】

  就職活動を終えた学生が先日パフに来て、うちの社員にこう漏らしておっ
  たそうじゃ。

  「○○ナビの就活支援は間違っている。学生が人生と向きあわなければな
  らない場を、お祭りのようにしてはいけない」

  「僕たちには(○○ナビが与えようとしている)ノウハウより、もっと仕
  事について考えなきゃいけないことがたくさんある」

  多くの企業が欲しがるような、とても優秀な学生だったそうじゃ。

  学生のほうが○○ナビの運営者よりも、よっぽど本質を捉えちょるよう
  じゃの。

  さあ、ここで我々社会人としての先輩たちは、どげえする?

 
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骨太ドラマにあっぱれの日

2009年9月13日 (日曜日)

いつも日曜日はこのネタばかりで申し訳ないのだが(いや、自分の「日記」なんだから申し訳なく思う必要なんてないな、苦笑)、やっぱり面白いものは面白い。『天地人』と『官僚たちの夏』のことだ。

天地人の直江兼続(妻夫木聡)。最初のころは優(やさ)男なのが気になったが、最近はなかなかどうして。とても勇ましい男気あふれる武人になってきた。

今回の見せ場は世に言う『直江状』。家康の脅しに屈せず、義を貫き通した直江兼続の魂のこもった文(ふみ)に鳥肌が立った。

松方弘樹が演じる徳川家康の激怒ぶりが滑稽であり、実に愉快だった。いい役者だなあ。

 

『官僚たちの夏』で通産省の企業局長を演じている高橋克実が実にいい。

猪突猛進で、朴訥とした愛嬌ある人柄を演じさせたら、この人の右に出る人はいないだろう。通産事務次官を演じる佐藤浩市の腹心の部下だ。自分にも高橋克実のような部下がいたら、どんなに心強いことかと思う。

福岡の炭鉱の事故で、土下座して犠牲者の家族たちに謝る高橋の演技は秀逸だった。また、「事故は通産省の責任だ。犠牲者を見殺しにした高橋はけしからん」と非難を繰り返すだけの政治家たちに向かって、「お前たちは炭鉱の人たちのために何かしたのか!」と部下をかばって吠える次官の佐藤浩市に泣けた。 

この二つのドラマに共通することは、主人公たちが、「利よりも義」という一貫した理念で行動しているということ。

しかし、その「義」を貫き通すことは、多くの場合、強いものや大きなもの(徳川家康やアメリカ)を敵に回すことにもつながる。

口では「義」を唱えながらも、あっさり「利」のほうに寝返ってしまう人々に激しい怒りを感じつつも、主人公たちは理想と現実との狭間で悩み苦しむ。

でも、最後の最後は、やはり「義」を貫き通す主人公たち。

いいよねえ。人間かくありたいものだ。

 

「上が言うことですから逆らえません」って言ってるだけの、思考停止に陥っている多くのビジネスマンたちに、この二つのドラマの主人公たちの生き様をみせてあげたい。

これから政権を担う政治家たちや、舐められたまんまの官僚たちにも、「どうせドラマの世界のことでしょ?そんな単純な話じゃないよ」なんて言ってほしくない。

なにより草食系と呼ばれて久しい男子学生諸君や新人サラリーマン諸君。こういう骨太な生き方を真似してみないか?

ほぼ引きこもりの日

2009年9月12日 (土曜日)

久々に風邪をひいて調子を崩してしまった。

いつもの土曜日は、ほうぼうに出かけるのだが本日は自粛。クリーニング屋さんに行っただけであとは引きこもりを決め込んだ。

溜まった新聞や雑誌などを読むも、風邪薬のせいか、すぐボーっとなって瞼が重くなる。気がつけば床に寝そべった状態で目が覚める。

こりゃあかんということで読書はあきらめてテレビドラマを観る。こちらも途中から意識が宙を飛び始め番組が終わったころに目が覚める。

こんなことを繰り返していた土曜日である。

軽症とはいえ、やっぱり風邪はつらい。はやいとこ治さなきゃな。

きょうは早めに布団を敷いて寝ましょう。

昨日の日記で予告したように、朝まっすぐ病院に行った。病院に入るまえに、(万一自分がインフルエンザだったらまずいと思い)マスクをした。

受付に行くと、事務の人たちは全員マスクを着用していた。そりゃそうだよなあ。病院で働く人たちは常にリスクにさらされているんだもんなあ。

「どうされました?」と聞かれたので、「風邪だと思うんですが、昨夜から喉が痛いんです」と答えた。

一瞬、事務員さんの顔色が変わったようだった。「まずはこれで体温を計ってください」と体温計を渡された。

体温は36度台の平熱だった。事務員さんに渡すと、「あ、平熱ですね」と、ちょっと拍子抜けした安堵の顔色。

待合室では外来のひとたちも全員マスク着用だった。こりゃマスクの品切れが起きるはずだ。

30分ほど待った後、診察室に呼ばれる。

医者は「どうされましたか?」と聞いてくるので、さっきと同様、「風邪だと思うんですが、昨夜から喉が痛いんです」と答えた。

「そうですか。では診てみましょう」と言ったので、僕はてっきり次は、「アーンしてください」と言われると思ったので、マスクをはずそうとした。

すると医者は、「マスクはそのまま!そのまま!」と語気を強めて言うではないか。

なんだよ、医者のくせに。喉が痛いっていうのに喉を診ない気か?

と、ちょっとムッとしたが逆らってみてもしょうがない。「あ、すんません」と答えた。

胸や腹や背中を聴診器であて、再度体温を計り、そのあとやっと「風邪で喉が腫れてるだけでしょうね。アーンしてください」と言った。

「あー、やっぱり腫れてますね」

アーンした口に光を差して器具を突っ込んで、当たり前のことを医者は言った。

「熱も低いですからインフルエンザの疑いはまずないですね。普通の風邪薬と喉の痛みどめを出しておきますから、これを飲んだあとでも熱が上昇してくるようであれば、もう一回来てください」

ということで、まずは一安心。ちょっと藪っぽい医者だったけど信じることにしよう。

ということで、その後、会社に出社。念のためマスクをして過ごしたのだが、接客時は(余計な心配をされるのもいやなので)はずしてしまった。

やっぱり健康第一。単なる風邪の喉痛だとしても、油断せずに早く治さなきゃな。

といいつつも、夜は宴席に出て、痛い喉にビールを流しこんだのであった。いかんなあ。

新学期が始まり、新型インフルエンザが急拡大しはじめた。学級閉鎖、学校閉鎖に追い込まれている小中高等学校も多いらしい。

わがパフでは、ちょっとまえに疑わしい奴がいたものの(イトーなんだけど、一時は病院で隔離されたらしい)、いまのところ感染者は出ていない。

が、外回りの営業担当の社員が全体の半分以上を占めるオフィスなので、帰社後の手洗いやうがいは、きちんとやってもらわなければならない。

まあでも、誰も抗体を持っていない新型のウィルスなので、いずれはかかる可能性が極めて高い。

幸いなことに、今回の新型インフルエンザは毒性が低く、重症化する心配は(普通の場合は)ほとんどないという。

で、あれば、いまのうちに(採用業務が活発化して超忙しくなるまえに)かかっておくというのも、究極の予防策かもしれない。

特に、9月の5連休のまえにかかって、連休明けには治っているなんていう感じだと、完ぺきだ。

パフの場合、10月以降、学内イベントやお客さまと一緒に行うセミナーが、年明け2月くらいまで目白押しだし、その後5月くらいまで、アウトソーシング業務で多忙になるため、この時期は、インフルエンザなんかにかかっている場合ではないのだ。

・・・なあんてことを、なぜきょうの日記で書いているかというと、いまちょっとヤバイのだ。

きょうの午後あたりから急にのどが痛くなってきた。

そして今現在(実はいまは翌日の朝6時なのだが)、そののどの痛みがひどくなっており、唾を飲み込むのさえつらい。

幸い、熱はさほどないようなんだけど。。。

ということで、明日(11日)は出社前に病院に行って検査をすることにしよう。

万一インフルエンザだったら、(前述のように9月の連休中に発症~治癒させるように)わざと会社に行って社員に染すっていう選択もあるかも……。

あ、不謹慎な発言でした。冗談ですよ。

名古屋から岐阜方面に向かうJRに乗って15分ほどのところにある、「稲沢(いなざわ)」という駅で降りた。

改札を出ると、30代半ばの爽やかな男性の方が、笑顔で僕を出迎えてくださった。お名前をKさんと仰る。個人では僕に次ぐ二番目の大株主の方だ。

株主名簿上ではおなじみのKさんなのだが、お会いするのは、きょうが初めてだった。

実はKさんから2週間ほど前に、丁寧なお手紙を頂戴したのだった。

「簡単な自己紹介」というタイトルなのに、とても詳しくご自身のプロフィールを書いてくださっていた。

その自己紹介の中に、「モットー:縁を大切に。心あたたかく。(お会いできたら大変うれしく思います)」と書かれていた。さらにお手紙の文中には、「御社の理念に共感しております。」という言葉が書かれていた。

嬉しくてたまらなくなり、本日の訪問とあいなったわけだ。

このKさん。この地で50年以上の長きにわたって産業界に貢献している某メーカーの常務取締役でもある。

そのことも先日お手紙を頂戴して初めて知ったわけなのだが、本日はKさんに工場見学をさせていただき、現場で働く職人の皆さんの様子も拝見させていただいた。

(工場の中は見せられないので、周囲の風景だけ写真にアップします)

Ca3c00890002 Ca3c00900002

静かな自然に囲まれた工場なのである。

働いている方々の年齢層も広い。

中学を卒業してすぐ、集団就職でこの会社で働き始め、今年で50年が経過するという、熟練の職人さんがいらっしゃるかと思えば、フィリピンから3年の期限で働きにきている若者もいた。

皆、「家族」といった雰囲気で、和気あいあいと、かつ、イキイキとした表情で仕事をされていた。

昭和の雰囲気がぷんぷんと漂う、そんな心地よい空間だった。

 

工場見学が終わり、パフのまじめな現状報告の話も終え、Kさんのご案内で名古屋市内の有名なお店で食事をすることになった。

名古屋コーチン料理の「鳥銀風月」というお店だ。とても上品で優雅なお店だった。

会席料理を食べながら、お互いの情報交換をじっくりとさせていただいた。

なかでも感銘を受けたのがKさんの株式投資のポリシーの話。

Kさんは高校生時代から株式投資を趣味として行っているという。投資歴18年にも及ぶ、経験豊富なプロである。

そのKさんが投資をする会社は、3種類あるそうだ。

一つ目は、投資に対する「リターンが期待できる会社」。これは老後の蓄えにすべく、自分自身が定めた投資基準に沿って銘柄を吟味するのだそうだ。

二つ目は、言うなれば「カジノ」。趣味の一環として、遊び感覚で行っているのだそうだ。

三つ目は、「理念がしっかりしており自分自身が共感できる会社」。自分の価値観とぴったり合って、思わず応援したくなるような会社には、すぐの見返りなど期待せずに投資を行うのだという。

おかげさまでパフは、三つ目の基準に適い、見事Kさんの投資対象として選ばれたわけだ。

それにしても、 「“理念”で投資先企業を選ぶ」と言いきるKさんは、スゴイ。

食事の最後のほうでは、パフに対して心温まる応援の言葉の数々を頂戴した。

 

最近、株主の皆さんと面談するたびに、自分の使命に気づかされる。

Kさんと別れた後、本日のお礼のメールをKさんにお出ししたのだが、次のような文章を無意識に書いていた。

———-

経済や雇用環境は厳しい状況がまだしばらくは続くのでしょう

が、私はこの「パフ」という会社を、世の中に誇れる価値ある

会社に育て上げていくことを、私の残りの人生の大きな使命と

していきたいと思います。

本日は、そのための大きな勇気を○(K)さんからいただけたよう

な気がします。

———-

 

メールに書いた内容は、いまの僕の偽らざる心境である。

このような温かい株主の皆さんに支えられているパフは幸せな会社である。この幸せに甘えたりすることのないよう、いつの日かきちんと恩返しできるような会社にしていきたいと思った日だった。

Kさん。あらためて本日は、どうもありがとうございました。本当にうれしかったです!!

8月29日のブログで僕は、川嶋あい をモデルとした 『8月のシンフォニー』という映画を観に行ったことを書いた。

僕はこの映画で初めて川嶋あいのことを知り、彼女の生きざまや彼女が生み出した歌詞とメロディと歌声に感動を覚えた。宣伝は(とある事情から)ほとんどされておらず、また上映映画館の数も(とある事情から)少なく、縁がなければ観ることがなかったであろう映画である。

本日は、僕にこの「縁」をくださった、本映画の脚本も同時に手掛けられた西澤昭男監督にお会いした。

 

え、釘さん、ついに社長を引退して脚本家や映画監督の道を志すことにしたの??

 

と、思われた皆さん、残念でした。まだまだ引退しません。

 

実は、西澤監督との面談は、脚本家や映画監督としての面談ではなく、企業家の大先輩としての面談だったのだ。

西澤監督の本職は、株式会社ワオ・コーポレーションの代表取締役会長(同社の創業者)なのである。同社は、特に西日本で有名な、小・中・高校生向けの教育産業企業である。上場は1988年。西澤監督は、教育業界の大御所なのである。

#ということで、ここから先は、西澤監督ではなく、「西澤会長」と呼ばせていただきます。

西澤会長と僕との出会いは、いまから10年以上も前にさかのぼる。パフを創業してまだ二年目。にっちもさっちもいかない、明日倒産しても不思議ではないくらいの頃だった。

とある方が、僕を西澤会長(当時は社長)に紹介してくださったのがきっかけだった。「パフは若者にとって、なくてはならない会社です」という過分なる紹介だったと記憶している。

資金繰りに窮していた僕はダメモトで、西澤会長にパフの事業プランを説明し、出資のお願いをさせていただいた。

すると西澤会長は、(僕が拍子抜けするくらい即座に)パフへの個人としての出資を決定してくださった。

あれから10年。そのときのパフの事業プランは未だに達成しておらず(そのときの事業プランだと、パフはいまの10倍以上の規模になっているはずだったのだが…)。なかなか西澤会長に顔向けできない状況が続いていた。

だからというわけではないが、西澤会長に最後にお会いしたのは、もう5年以上も前である。僕は不義理なこと、このうえない奴なのである。

しかし今年の株主総会を前にして、株主の皆さんに、ぜひともご理解を頂戴しなければならないことがあり、僕はこの数週間というもの、大株主の皆さんのところへの訪問を繰り返している。

西澤会長も大株主のおひとり。「顔向けできない状況だから」などと言い訳することはできない。

きちんとお会いして、いままでの不義理を詫び、新たなる関係づくりのお願いをせねばならぬと思い、本日お邪魔したのであった。

 

西澤会長は、お会いするなり相好を崩して、僕の話に耳を傾けてくださった。何より驚いたのは、僕のこの「釘さん日記」を読んでくださっていたこと。冒頭、僕が「8月のシンフォニー」のことを日記で書いていたことを、ちゃんとご存じであったことに、感動してしまった。

本社事務所(書き忘れましたが同社は大阪本社です)で、僕からのお願いごとの説明が済んだあと、「お昼御飯でもいっしょに参りましょう」ということになり、車でウェスティンホテル大阪に向かった。

代表室長(いわゆる社長室長や秘書室長と同義)の西川さんと、採用責任者の日比さんもご一緒だった(お二人ともお忙しい中、ありがとうございました)。

天井が驚くほど高いレストランでのランチをご馳走になりながら、映画のこと、西澤会長の幼いころのこと、両社の事業のこと、硬軟入り混じったさまざまなお話をさせていただいた。約二時間の、実に充実した時間だった。

いちばん驚いたのは、なんと西澤会長のお父様は、僕がいま住んでいる月島でお仕事をされていたということ。西澤会長の二作目の映画(ふるさと-JAPAN-)では、月島にほど近い、門前仲町や木場が舞台となっている。昔のお住まいは木場にあったそうなのだ。このことで僕はよりいっそうの「縁」を感じたのだった。

 

と、ついつい長くなってしまったが、とにもかくにも本日の再会はとても嬉しかった。僕ごとき若輩者で無礼者の人間を、とても厚くもてなしていただいたことは、本当に感謝に堪えない。

心からの感謝を、この日記に書き残しておきたいと思った次第である。

#西澤会長、本当に本日はありがとうございました。

 

あ、そうそう。最後に西澤会長とウェスティンホテルの入り口の前で撮ったツーショットの写真を掲載しておきます。

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#もちろん西澤会長には、きょうの出来事を実名で掲載することも写真を掲載することも、ご快諾いただいてますよ~。

<追記>

『8月のシンフォニー』の上映は9月11日(金)までの映画館が多いようです。東京なら渋谷東急ですね。学生の皆さん、ぜひ観ましょう。泣けるよ。企業の皆さん、2~3時間会社を抜け出して観に行きましょう。クビにはならないでしょうから(笑)。